人工知能の第一人者 Andrew Ng 氏がアドバイスする機械学習キャリアの築き方

Posted on 2018-12-18(火) in Machine Learning

現在は、AI Fund の立ち上げ、Landing.ai の CEO 、そして Stanford の教授として活躍する人工知能の第一人者 Andrew Ng 氏。ACM (国際計算機学会) の生涯学習のウェビナーにて「機械学習キャリアの築き方」という内容で話をした動画が、とても良いアドバイスが満載でしたので、ここでまとめと共に紹介します。

Andrew Ng 氏

Andrew Ng on Building a Career in Machine Learning

  • AI は技術的ブレイクスルー
    • 多くの機会
    • 多くのキャリア機会
  • 素晴らしいキャリアを築いている人は何が違うのか
  • どうやってインパクトのある、人の役に立つ仕事ができるか
  • 技術ポートフォリオ
    • 分野 x 知識の深さ
    • 広さと深さ、両方を持つ
  • 広さ
    • 広さを身につけるには、コースを取る (大学、MOOC)+論文を読む
    • コースとして整備されていない知識 (例: AI + 地震予測、AI + 物流 etc.)は、論文を読むしかない
  • 深さ
    • プロジェクト(インターン、会社で働く)、オープンソースで身につける
    • 履歴書に書いてある項目よりも、「実際に何ができるか」が重要
    • スキル
    • 開発力
  • 「泥臭い仕事」の重要さ
    • 一般の人が考える「AI」:「禅の心境で、ホワイトボードの前に立って人類の未来について哲学する」
    • 実際の AI:データセットを綺麗にする。学習曲線をプロットしてひたすら見る。PCA の結果について議論する
    • 多くの重要なプロジェクトには、泥臭い仕事が必要
    • メディアが作り上げた AI のイメージのせいで、泥臭い仕事をしていると心配になる
  • 生涯学習
    • Andrew Ng 氏でも、常に研究論文を持ち歩いて読んでいる
    • 会社の CEO として働きながらも、毎週何本か研究論文を読む
    • 週末に頑張ってたくさん勉強する、のではなく、毎週少しづつでも良いので生涯に渡って学習しつづける覚悟をする
    • AI キャリアでの成功は、履歴書の項目よりも、あなたの実際にスキルと相関がある
  • AI の「未開の機会」
    • ソフトウェア業界の外にある
    • 農業、物流、小売、etc.
    • GDP の成長は、比較的伝統的なセクターの成長から来る
  • 質問: 学部卒業後、大学院に進学するか、民間企業で働くべきか
    • トップレベルの修士・Ph.Dプログラムに進学するのも、民間のトップレベルの AI/ML チームに就職するのも、どちらも良い選択肢。全てに応募して、自分に一番大切なものを選ぶ
    • 修士、博士の学位は有用だが、必須ではない
    • 一緒に働く人が最も重要な要素。自分が一緒に働く10〜30人の人と、上司(もしくは指導教官)の影響が一番大きい
    • 会社や大学の「ブランド」にこだわらない。大企業は内部の差異が激しい。働くチームは非常に大切。少数精鋭の AI グループにジョインできるならOK。そうでなければ微妙
    • 例:スタンフォード大学の卒業生。「ブランド」大企業に就職後、Java の決済システムにアサインされ、その後の AI キャリアが停滞してしまう
  • 質問: 一つの専門を極めるか、複数の分野に強くなるべきか
    • 皆が学際的に活躍する必要はない
    • 分野外の専門家と一緒に働く
    • AI の仕事は楽しい (Landing.ai は農業+AI。トラクターを運転できる!)
  • 質問: AI のある分野に詳しくなるのにどのぐらい時間をかければ良いか
    • 今の世界では、少し学習して、それを現実の問題に応用、それを踏まえてさらに学習、というサイクルが回しやすい
    • MOOC の卒業生が機械学習を使って最適なコーヒーの煎り方を学習
    • 機械学習のコースを修了した後、10〜20本程度、研究論文を読んでみる。50本、100本と読むと、新しい研究アイデアが湧くようになる
  • 質問: 開発者にとって5年後に重要になる領域や手法は
    • 小さいデータに対する機械学習。100万枚の画像からモデルを学習するのは誰でもできる。100枚の教師画像から学習するには、スキルが一層重要になる
    • 一般化能力。人間の放射線科医のように、古い機器、解像度の高くない X 線画像からも正しく診断する
    • ソフトウェアエンジニアの世界→アジャイル、コードレビュー等の開発技法が進化した。機械学習分野ではまだ未発達。統計的な仕様を理解できるプロダクト・マネジャーの育成
  • 質問: AI が浸透する社会においてのエンジニア、プログラミングの役割は
    • 昔は、ごく少数の人々だけが読み書きできた。識字率の向上により人々のコミュニケーションは劇的に変わった
    • 現在は、ごく少数の人々だけが多くの人に影響をあたえるプログラミングができる。将来は、コーディングが全ての人の基礎知識となる
    • 皆がコーディングできるようになれば、夫婦経営の小さな店がディスプレイをプログラミングして特売情報を表示できるようになる
  • 質問: ソフトウェア以外の分野の AI の仕事を探す方法
    • 特に良いアドバイスは無い
    • 問題: AI チームやプロジェクトを立ち上げられるCEO、管理職の不足
    • どのプロジェクトに取り組むべきか?会社の戦略とAI 戦略をどう合わせるか、が分からない人が多い
    • 2019年にローンチ予定の "AI for Everyone" コース。技術的な知識の無い人のための人工知能コースをリリース予定
  • 質問: 学習リソースが乱立。どれが有用かをどう見極めるか
    • 入門の時は、コースを使って学習するのが効率的
    • 次に、検索エンジンを使って関連する論文を5本ほど列挙する
    • その5本を表面的に読む。関係のあまり無い論文を除外する
    • 関係の深い論文を深く理解する
    • 深く理解した論文をベースに、さらに検索して(もしくは引用をたどって) 論文を見つける
    • これを繰り返す
  • 質問: 会社の上層部に AI のベネフィットを理解してもらうには
    • "AI for Everyone" のコースを取ってもらう!
    • 今は、この情報が散在している。HBR の記事をいくつか転送するのもあり
  • 質問: 仕事のあり方が変わっていく。これにどう対処するか
    • 子供が居る人、生涯学習の考え方を身に着けさせる
    • 個人・社会のレベル。無条件のベーシック・インカムには賛同しない。例えば、学習している限りもらえる条件付きベーシック・インカムを導入し、社会貢献できる可能性を上げる
    • 色々な職種でスキルを持った人材が不足している
  • 質問: 最初に機械学習に興味を持ったきっかけは?
    • Ng 氏の父親の出版した論文
    • 10代の時に、父親が、医学に機械学習を応用していた
    • 論文中に「コンピュータは人間の医師を置き換えるものではなく、助けるものだ」という一節。
    • 子供が居る人は、自分の機械学習の仕事を見せてみるのもあり

Andrew Ng 氏の英語は、早口で聞き取りにくいところもありますが、わかない箇所等は上記メモを参照いただければと思います。また、動画中には、以下のような言い回し・イディオムがいくつか出てきますので、意味を知りたい方は調べてみましょう。

  • goes without saying
  • FOMO (feat of missing out)
  • dirty work
  • jack of all trades
  • mom and pop store
  • no strings attached